2010年07月23日

祖父特製『モロタマ丼』

SBSH071711.JPGImage065.jpgSBSH071911.JPG



夏の市場でうれしいのは、トマト、ゴーヤ、葉とうがらし、まくわうり、ズッキーニ、谷中しょうが、そしてモロヘイヤ。

値段は、スーパーとかわらないか、高いくらいのものもあるけど、とにかく鮮度が違う。

生きてる植物のキワキワの味がする。

モロヘイヤは、夏場の栄養補給に持ってこいの野菜。葉っぱをつんで、さっと茹でてお浸しに。もともとエジプトあたりのものだけに、エスニックっぽいスープにしてもおいしい。


祖父は、あまり料理が得意な訳ではなくて、包丁さばきも危なっかしい。実際に、手元が狂って何度も指先や爪を切っている。しかも、かなりの大怪我である。ご飯を炊くと、炊きあがるまで、お鍋の前でじーっと見てるし、お茶を入れても、お湯が沸くまでヤカンを見てる。でも、古漬を刻むとか、梅干しを叩くとかの、単一作業には心が込めやすいらしい。こんかぎりの力と根性と、おのれおのれ恨みはらさでおくべきや感をみなぎらせて、もーいいと言っても刻み続け、叩き続ける。


そんな特性をいかして、祖父が考案した料理がこれ。

夏バテ対策にぴったりの『モロタマ丼』です。さっと茹でて、冷水にとったモロヘイヤを、まな板にのせて、トントンと叩いてゆきます。少しまとまってきたところで、チューブのわさびをびろーと乗せて、叩き混ぜこみます。

モロヘイヤの山に窪みを作り、卵をほぐして入れます。卵の白身を包丁で切るように叩き混ぜ、出汁と醤油で味を整えます。全卵、黄身のみはお好みで。ただ、全卵の方がなじみがよいように思います。



完熟トマトの皮を包丁でむき、さいの目に切って、軽く塩をまぶしておきます。

温かいご飯にモロヘイヤをのせ、まずはそのまま。次にトマトをのせて、かきこむ、かきこむ。夏の日なたの味がムンムンして、今日も一日がんばろう、という気にさせてくれます。

黄身だけで作ったものは、酒の肴にいいですね。そのまま小鉢に盛って、さいの目トマトをのせたり、いかそうめんに添えたり。軍艦巻きにも、よさそうです。

まな板は堅めの木か、樹脂製のものがよいようです。柔らかい木のまな板で叩いて、まな板の味がしたことがありますから。

だからぁ、祖父。そんなに力こめて叩かなくていいってば。






posted by 瓜南直子 at 21:44| Comment(0) | 料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月22日

カナン的日常―発酵のときがやってきた。




前回の高島屋の個展は、私が20年描いてきた仕事の、一つの区切りのようなものだった。

次にどこへ向かうのか、どう展開してゆくのかを今、つかもうとしているところ。

つかみかけたものを逃してしまうと、イメージは紙にも画布にも定着せず、ふわふわと、どこかよその風にさらわれてしまう。

表現者にとって、こんなに悔しくつらいことはない。



最低限の用事以外はすべて排して、篭らなければ。

独りでいなければ、つかみそこねてしまう。

社会も情報も遊びもいらない。

1995年。TVのコードをハサミでブチッと切った、あの震災とオウムの年のように。電話に出なくなったのも、その頃からだった。


この2、3ヶ月から半年が勝負だと思う。

仕事や家事は極めてクールにこなそう。

我が身を漬けこんで、内なる発酵にいそしむときだ。いちばん重い蓋をするのだ。

ひっかかってくる言葉を拾い上げ、皿の上で置き方をかえ、そこからボウと浮かび上がる煙を瓶に入れ、並べて観察し、時にブレンドもする。

その作業のどこかに、絵にたどり着く路がきっとあるはずだ。

こつこつと、毎日休まず繰り返していれば、きっと。



―――――――――――
posted by 瓜南直子 at 11:27| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月17日

カナン的日常−夏は来たけど。

SBSH07561.JPGSBSH077511.JPG



梅雨明け。

そして世間は夏休み。

今日は、昔講師で通っていた鎌倉美術研究所の25ぶりのコンパで、葉山森戸海岸の「オアシス」へ。なつかしい変わらない顔ぶれと、葉山の夕照を堪能してきた。

今年の鎌倉の花火大会は
7月21日。夏のメインディッシュが、こんなに早くきていいのだろうか?

8月6日からの、鶴岡八幡宮の「ぼんぼり祭」に奉納するぼんぼり絵を揮毫。これは7月25日までに八幡さまに届ける。

【ざ・てわざ】の2回めの会議が26日。それまでに、推薦する作家の資料をまとめなくてはならない。同人の檄文の叩き台も作成しておかなくては。

8月4日。祖父が還暦を迎える。経済的に、たいしたお祝いはできないけど、佗助で内輪なパーティーでもして、みなさんに祝ってもらおうと思う。

8月18日から、富士宮で伴清一郎、美濃瓢吾と3人展。飾り付けに前日から富士宮入りして、オープニングに顔をだしたら、とんぼ返り。10月の【ストーリーテラーズ展】の〆切りが20日なのである。

8月24日は、鶴岡八幡宮の林間学校の絵画教室。

井上蒲鉾店の広告の撮影とコピー制作もすすめなくては。

【表現者】33号の表紙もコラムも、9月初旬に〆切りである。


とにかく、私にも夏は来たけど、お休みはないみたいだ。


―――――――――――
posted by 瓜南直子 at 22:22| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

カナン的日常−制作の啓蟄期



10月に日本橋高島屋で開催される【ザ・ストーリーテラーズ小説と絵画展】。一遍の小説をモチーフとして、画家が絵を描くという展覧会に出品することになった。

文学と美術の接点を探り、双方の付加価値を高めて行こうとする、大変興味深い企画である。

私は盛田隆二さんのデビュー作【ストリートチルドレン】を選んだ。盛田さんには、ツィッターを通してお願いし、快諾を得て、ご本人にもお会いした。

盛田さんの【エーテル密造計画】という小説からもイメージが湧き、現在何枚かまとめて制作をしている。

ここを、次の個展への流れに乗せてゆきたいと思っている。


制作が軌道に乗って、完成までの道筋が見えるまでが、いちばん大切な時期である。

朝のまっさらな眼をいちばん信頼しているので、起きたら何よりも先に画室に入る。とりあえず、描きかけの作品何枚かと会話してみる。どうして欲しいのか、話を聞いてあげるのだ。

昨夜つけておいたメモと照らし合わせて、今日の式次第を箇条書きにして朝食をとる。

家事や雑用をしてから、仕事に入る。

しかしどうしても、午前中は家事と仕事を併用することも多い。洗濯機をまわしながら、出来る作業をしたり、仕込み料理のかたわら絵具の整理をしたり。メールの返信やぬか床の手入れ、片付けなども、絵具を塗って乾くまでの時間を利用してこなしたりする。

3時ごろの軽い昼食をはさんで、夕方まで仕事を続ける。


たまに、よし今日は少し気分転換に呑みに行こう、という時以外は家で晩酌。基本的に外食はしないので、呑みがてら誰かに会いに行くのである。

わがままな話かもしれないけど、呑みに行く時は人の顔がみたい時であり、そうでない時はできるだけ、人に会いたくないのだ。買物に出て知り合いに会って笑顔を作るのもしんどい時は、買物にも出ない。


私の場合、お勤めの人と違って、家にいるということが仕事なんである。つまり、仕事場に寝泊まりしているのと変わらない。

飯場である。

晩ご飯のあとの時間は、クールダウンと共に、翌日への準備時間である。

ここで何か突然の出来事があったりして、はしゃいでしまうと、今日と明日の繋がりがプツリととぎれてしまい、また仕切り直しということになる。

突然、出かけることになったり来客があったりもそうだけど、DVDなどからの刺激も同じ。先日のように夜中にキャンディーズのDVDで盛り上がってしまうと、起きた時に回路が切れているのがわかる。

これはおそらく、家で制作をしている人は、画家であれ作家であれ同じだと思う。

夜はブログや原稿の下書きなどをする。あきっぽいくせに粘着気質なので、文章はいくつも仕込んでおいて、仕上げるとなるとしつこいくらい見返す。これは絵も同じ。

そして、翌日することをメモして寝る。


こういう日々を、淡々と延々と重ねないと、作品が発酵してゆかないので。

雑々とした日常の中から、必死で制作の糸を紡いでいる。自己管理、という当たり前の言葉が自分を戒める。



それにしても、なんとか7時には起きるようにしたいものだ。

夏の力を借りて。


―――――――――――
posted by 瓜南直子 at 15:31| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月10日

ヘイヘイ!モンキーズ!

SBSH07041.JPGSBSH07051.JPGSBSH070711.JPG



1968年。

正月の旅行先の高知で父が胆石で倒れ、私が付き添って家までタクシーで帰った。即入院、手術となり、後から帰った母が病院に泊まりこんだ。

留守宅は子供だけの家となった。そして、それまで一括して親に握られていたチャンネル権が、私の手に入った。

クラスの男子が夢中になっていたTV番組【ザ・モンキーズ】をようやく見ることができた。

以来、頭の中はモンキーズで埋めつくされ、小学生の時は何一つ勉強しなくても成績のよかった私の成績は、ガタガタに落ちていった。オール5から、音楽以外はオール3へ。中には2もあったような気もする。

モンキーズ、ローリングストーンズ、アメリカのポップスナンバー、そして深夜放送。足りない睡眠は授業でおぎなう。



【ザ・モンキーズ】はフィクションのアイドルグループのコミカルなドラマ。モンキーズの4人はその中でミュージシャンの役を演じていたわけで、実際に演奏できたのはマイク・ネスミスとピーター・トークだけ。彼らはバンドではなかったのだ。オーディションで選ばれたタレントであり、ロクに演奏なんかできなかった。

モンキーズのスタッフライターであるトミー・ボイス&ボビー・ハートは、レコードの録音用にバッキングトラックとコーラスパーツを作成し、そこにボーカルをのせた。

初期のモンキーズの曲を聞けば、たしかにボーカル以外にモンキーズの他のメンバーは加わっていないことはわかる。



当時から、そんなウワサは聞いていた。ビートルズマニアの従兄弟にも、モンキーズはニセモノだと言われたけど、13歳の頭のイカレた小娘にそんな正論を説いててもムダ。

日本公演の評判も、それはもうヒドイものだったし、実際TVで観ていても音はよく聞こえなかった。けれど、めげない私はカセットテープレコーダーのマイクを、TVの前に置いて録音した。そしてカメラで画面を写真に撮った。もちろん、ロクなものではない。それでもじゅうぶん幸せだった。私にとっては、これこそまさに生録であり、生写真なのだ。



今になって、CDを聞き返してみると、楽曲の良さに驚く。ボイス&ハートによる力強いポップスナンバーはめちゃくちゃかっこいい。

【モンキーズのテーマ】【恋の終列車】【デイドリーム・ビリーバー】【恋はちょっぴり】【彼女】【スター・コレクター】【すてきなバレリ】...
デイビー・ジョーンズとミッキー・ドレンツのボーカルの魅力がめいっぱい引き出されている。



ボイス&ハートの手を離れ、モンキーズのメンバー自身がプロデュースするようになってからも、ゴキゲンな曲が数多くある。

【ランディ・スカウト・キット】、プログレッシブな【ホーバス・ソング】、【カドリー・トイ】、マイク・ネスミスによるカントリー・ロック【恋の冒険】。

そしてミッキーのジャズスキャット【ゴーイン・ダウン】は圧巻。ベッド・ミドラー顔まけのジャズリぶりである。

そう、おもちゃ箱をひっくり返したような、何でもアリの楽しさこそがモンキーズ!

ドラマの中の演技は自然体で、近所のやんちゃなお兄ちゃん風が板についていた。

モンキーズ。彼らはホントにチャーミングだった。もう一度TVシリーズを観たい。できれば字幕で。


めちゃめちゃなイラストの【モンキーズカー】のプラモデルは、惜しくて惜しくて作らないうちに40年たってしまった。

2枚組のアルバム【小鳥と蜂とモンキーズ】の付録についてたカレンダー。

ペナントなんてものもありました。LPもとってあるけど、押し入れの中。

何年かに一度、うわー、モンキーズだあって、掘りかえして見るだけのものですが。


―――――――――――
posted by 瓜南直子 at 21:33| Comment(1) | カナン昭和館 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。