スタイリストをしていた頃、オブジェ制作の仕事の依頼も多かった。
女性誌やインテリア誌の仕事が主だったので、モデルさんの足元に廃材を組んだようなオブジェが欲しい、
とか枯れ木を使ったインテリアのオブジェを作ってほしいとか、
食材を使ってダイニングやキッチンを飾るオブジェ特集をしたいんですけど、というようなものが多かった。
そういう仕事は楽しいし、撮影が終ったあと、編集者やカメラマンが、
「これ、もらってっていいですか」と持って帰ってくれるのもうれしかった。
クリスマス用に、お花でないものでリースを作って下さいという仕事には燃えた。
これだ!!とばかりにキッスチョコ、キャンディー、うずらの卵、
英字新聞と金属片、基盤パーツのあれこれ、さまざまな形のマカロニ、
そしていろいろな豆でリースを作った。
この時ばかりは撮影が終っても、せこく「あげない」と言ってみんな持って帰った。
そして、その時はじめて豆の楽しさを知ったのである。
大豆、ひよこ豆、手芒(小さい白いんげん豆)、豌豆、浸し豆、花豆、
うずら豆、金時豆、レンズ豆、キドニービーンズ、黒豆。
以来、豆はかかせない食材だ
。湿気の多い土地で暮らしているので、乾燥豆にも虫がつきやすい
匂いがつかないように、二重にパックして冷蔵庫で保管している。
レンズ豆はニッカの「フロム・ザ・バレル」の瓶に入れている。
瓶はお気に入りだし、スープに入れる時には口を開けて、ザーッとすればよいのでとても便利。

豆は甘く煮るものでないかぎり、戻す時に少量の塩を加えます。
大豆や黒豆なら、このまま蒸し上げるだけでおいしくいただけるんです。
一晩水につけて戻した豆をゆっくり茹でます。
和風に使う以外は、つぶしたにんにく、つぶ胡椒、月桂樹、玉ねぎ1/4割りを入れてゆでます。
アクをすくってコトコト茹でて柔らかくなったら放置。
室温に冷めたら、使わない分は茹で汁も一緒に冷凍します。
豆の茹で汁はりっぱなスープストック。野菜スープなんかの水がわりに、この茹で汁を使ったりしてます。

ル・クルーゼやシャトルシェフなど、煮込みの得意な鍋を使えばカンタンです。
私は、気分と時間のあるなしによって、鍋を選んでいます。
基本は豆の顔の見えるやっとこ鍋でコトコトだけど、
お鍋にまかせてしまいたい時はシャトルトェフや、
ヴィレッジ・ヴァンガードで買ったミニ スロークッカーを使います。
では、お豆さんとイチャイチャしましょうか♪
【しょうゆ豆】
茹でた大豆をテフロンのフライパンにあけ、酒、醤油を注いで火をつけ、ゆっくりと煎りあげます。
少しみりんを足してもいい。弱火でころころと煎ります。
ほんわり、おいしそうな色になったら、器にあけておきます。
作ってすぐより、翌日のほうがなじんでおいしいはず。
箸休めに、酒の肴に、こういう一品があると落ち着きます。
黒豆で作ると、またこれは格段上の味。
これを大根おろしで和えて、紫蘇の葉の繊切りをまぜて、少し置いて味をなじませて食べるのもおいしい。

【えび豆】
京都や滋賀県の川魚やさんやお総菜やさんに、ふつうに売ってるお総菜です。
川えびがあればいいのだけど、手に入らないので干し桜えびで作っています。
たっぷりの出汁で茹でた大豆を煮ます。沸騰する前に弱火にしてコトコト30分くらい。
豆が出汁になじんできたら、砂糖、淡口醤油、みりんを加え、しばらく煮ます。
豆がひたひたになったら、豆の1/20くらいの桜えびを加え、
数分煮てえびの旨みを引きだし、火をとめて蓋をしてそのまま冷まします。
もう、なくなってしまった京都の「楽」のマスターのえび豆がおいしくて、
無理やり教えてもらった作り方です。
ほんとは川えびで、トゲトゲに上あご刺されたりして、イテテとかいいながら食べたい。

【昆布豆のしそ漬】
これは、夏にぴったりの豆料理。
20代の頃、昆布豆はおいしいけれど、煮込んだ昆布がどうも好きになれなくて、
もっと昆布をさわやかに食べたい、と思って作りました。
作り方はブログのこちら http://kanannaoko.seesaa.net/article/188780742.html に書いてあります。
【豆サラダ】
これもやみつき。お鉢抱えてしまいます。
ガルバンソや白いんげん豆、とら豆などで作ります。
玉ねぎやにんにく、月桂樹、粒胡椒などを入れて茹でた豆を熱いうちにザルにあげ、
ボールに移してみじん切りの玉ねぎとともにフレンチドレッシングで和えます。
こういう場合、私はマコーミックのフレンチドレッシングを使っています。
時々まぜて味をなじませ、ブラックペパーを挽き、パセリのみじん切りをまぶして出来上がり。
パプリカを降ります。

【ガルバンソとほうれん草のイスタンブール風煮込み】
なぜイスタンブールなのかわからないけど、
どことなくエキゾチックな味わいなので、そう名付けてしまいました。
ヨーグルト入れたら、まさにイスタンブールかも。
ほうれんそうは茹でて適宜に切っておきます。
フライパンにオリーブオイルを、潰したにんにくを入れ、香りを引出します。
半分つぶれるくらい、やわらかく茹でたガルバンソ(こういう時はスロークッカーがお役立ち)を入れ、
しばし炒めたら塩、胡椒とクローブの粒とガルバンソの茹で汁を少し加えてしばし炒め煮します。
ほうれんそうも加えて味をなじませます。
私はここでシーズニングソースもちょっと加えます。パンのおかずにいいです。
【打ち豆の五目豆】
以前、イラストレーターの田代知子さんにいただいてから、すっかりはまったのが打ち豆。
これで五目豆を作ると、しみじみひなびた奥深い味わいになります。

あぁっ。やっぱり乾物すごいっ!!