2012年02月29日

いつもなおかず12. にしん蕎麦




にしん蕎麦S.jpg



めずらしく堅干しのにしんを戻してみた。

戻し方や下処理は、ソフトにしんとほぼ同じだけど、戻す日にちは倍以上。

白水(お米のとぎ汁か、米ぬかをもみ出した水)で戻し、
毎日水を替えて5日ほどしたら、ウロコやヒレを引いて皮のぬめりも包丁でしごき取る。
お茶の出しがらで揉むように洗って、中骨の残りや腹の皮や骨を引いておく。

にしんの戻し方、下ごしらえはこちら→
「にしん煮ませう」 http://kanannaoko.seesaa.net/article/143538444.html


にしん戻すS.jpg

                                 右上が、だし袋に入れた米ぬか。これを揉みだして白水とします。




今回は、にしんそばを作りたかったので、棒煮にしました。

鍋に昆布を敷き、水、酒、三温糖かザラメ、醤油を合わせ、にしんを並べ入れて、
薄切りのしょうがを散らして落し蓋をしてコトコト炊きます。
20分ほど炊いて火をとめ、そのまま冷まします。



にしん煮S.jpg





この鍋は由比ヶ浜通りの古道具屋さんで見つけました。
浅いので煮魚にちょうどいいし、この古っぽさが気に入ってます。
菜っ葉を茹でたりするにも、火の通りが早くて便利です。
ただペナペナアルマイトなので、煮魚には底に経木や昆布を敷いてま​す。



にしん蕎麦は、温かいお蕎麦に、温めたにしんと小口切りのねぎをのせるだけ。


初めはさっぱりしてるけど、お風呂に浸かったにしんから、だん​だんコクが出てきます。
中ほどでぐっと旨みが増して、おつゆを全部飲んだ後は、
食べ始めの記憶と中和して、ちょうどいい加減に「おいしかった」となる。
こういう感じを「返し味」というのかなぁ。


にしん蕎麦といえば、京都四条南座の「松葉」が有名だけど、
この腰巻というか、お昼寝タオルケットみたいにお蕎麦をかける様式は、
いったい​なんであろうか???と思いながら、かけてみました。

後​で思ったけど、かけるお蕎麦は別にして、揃えてかけるんですねー。
ちょっと、バラけてしまいました。


炊いたにしんは、お茄子と炊き合わせるのもいいなー。季節じゃないけど。



※灰汁や番茶で下煮する方法もあるけど、下ごしらえをしっかりすれば臭みはほとんどなくなる。
灰汁はたぶん、そのアルカリ成分で身を柔らかくするのだと思う。
加減が今ひとつわからないので試してみていないけど、次は使ってみようと思う。











posted by 瓜南直子 at 18:34| Comment(0) | 保存食フェチ。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月26日

いつもなおかず11. 小あじの南蛮漬



小あじ南蛮漬.jpg





どんなものでも注文を受けてから作る店があった。

マスターは、元銀座のバーテンダーだったという。若い頃の写真を見るとなかなかの色男だ。
いろいろな浮名を流し尽くして、シェイカーを包丁に替え、麻雀の牌でなく魚を切ることを覚えて始めた店だった。

もともと器用なタイプではないけど、誠実にていねいに作る。
それも、注文を受けてから、という揺るがぬ鉄の方針があるので、時間がかかる。
でも、蛸の薄作り、カワハギ薄作り、サザエ刺身、本ミル貝、あん肝、釣りものの〆鯖などなど、
新鮮でおいしくボリュームたっぷり、そしてどこよりも安かった。
だから、料理ができるのをみんなおとなしく待っていた。

蟹などは、全部殻から身を出してくれた。
さんまの刺身を頼むと、ワタだけ別にホイル焼きにしてくれた。
明日まで置いといても売り物にならないものは、遅くまで飲んでる常連客にサービスで出してくれた。
それも、サザエや本ミル貝やウニなんかを、である。

遅めの時間に頼んだチャーハンや雑炊には、その日の具材がいろいろ入っていた。
高菜の雑炊を頼んだのに、毛蟹の身が半身分入ってたこともある。




めったに予約などしない私だけど、一度、遠くから食いしん坊の友達が来た時、
これから一緒に行くからー、と電話して行ったことがある。
店に入ってカウンターに座るなり、ハイお通し、とあじの南蛮漬が出た。

え?お通し?これが?

だって、大ぶりの鯵が2本も盛ってあるんだもの。
しかも、ここの南蛮漬は、漬けこんで冷めたものでなく、
揚げたてに熱い甘酢をジュンッとかけるものなのだ。
「熱いうちがおいしいから、熱いうちに食べて」
なんて言われて、せっせと食べたら、もうもうじゅうぶんにメインディッシュ。
これ食べてから、サザエやかわはぎの薄造りを食べるのはなんとももったいない。

マスターはサービスのつもりだったんだろうけど、
うれしいけど、お腹いっぱいになっちゃうじゃないのぉー。



南蛮漬というと、この一件を思い出す。
マスターは、たくさん食べる人を見ているのが好きだったようだけど、
自分がほとんどものを食べないので、加減がわからなかったのだ。

いい店だった。
10年近く前にマスターが亡くなり、店は代替わりして全く別ものになってしまった。
ビジネスという言葉が似合わない店、というのがあったんだ。




南蛮漬S.jpg

                                              漬けてから2日後の南蛮漬




南蛮漬のあじは、やっぱり小あじで行きたい。
大きな鯵を骨まで食べられるように揚げると身が痩せてしまうし、なんとなく義務感にかられてしまう。
小あじなら、鉢にたくさん盛ってもいいし、2,3匹を小皿に盛り付ければ酒の肴にちょうどいい。
漬けた翌日からが味がなじんでおいしいけど、小あじならその日でもいただける。



小さくても、魚の下ごしらえは一緒だし、それなりに手間はかかるので、
2段階に分けて作ることにしています。

お腹を出して、エラをはずし、中を歯ブラシで洗います。
海水より少し濃いめの塩水に10分ほど浸けて、ザルか網バットにあけておきます。

と、ここまでが下処理です。
自然と水が切れてその後の仕事がしやすくなるので、そのまま冷蔵庫に入れて半日置いておきます。


で、半日後、ほとんど水気をふかないでいい状態になったあじに粉をまぶすわけですが、
小麦粉派と片栗粉派がいます。
もう、これはもう好みなんだけど、私は片栗粉派。つまりカリッとより、しっとり系。


漬け汁は、出汁と酢、みりん、同量くらいに淡口醤油を合わせたくらいが好みです。
ここに鷹の爪を入れて、火にかけて温めておきます。
揚げたての小あじの油を切って漬けて行きます。薄切りの玉ねぎも一緒に。
新玉ねぎは冷めてから入れたほうが、独特の甘みと食感が楽しめてうれしい。

漬け汁を入れる容器は、火にかけられて、そのまま保管できるホーローのバットが便利です。


タカベや小鯛、ままかりなどで作ってもいいですね。


今は、漬け汁をちょっと切って、パンにはさんで食べるのもいいなー、とたくらんでるところ。
おいしい粉で焼いた、ちょっとフカッとしたパンにレタスやトマトと一緒にはさんで。








posted by 瓜南直子 at 17:43| Comment(0) | いつもなおかず | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月24日

いつもなおかず10.アルファルファサンド



アルファルフア.jpg





アルファルファ。

初めて食べた時、あの植物独特のムンムンした生命力みなぎる味に驚いた。

種を発芽させた、つまり、もやしを日光に当てて葉緑素を増やした、
たいへん栄養価の高いものだってことはわかるんだけど、
これはいったいどうやって食べたらおいしいのか。

ドレッシングもあまり合わないし、モサモサして食べにくい。
何かの付け合わせというのも、とってつけたようだし、ほかのものとなじまない。


豚バラ肉とスープにしてみたことがある。
これはわりとおいしかったけど、モサモサ感が今一つだった。

そば粉のパンケーキに入れて、醤油味で食べてみたりもした。ただしナイフでうまく切れなかった。
でも穀物と油脂が合うのだということはわかった。

で、いつもはだいたい、豆腐を薄切りにして、
アルファルファとしらす、胡麻を乗せて醤油をかけたものを海苔でくるんで食べていた。



ある日、それをトーストしたパンにはさんで食べてみたら、
パンの熱でアルファルファが幾分しなっとなって食べやすくなった。
醤油をかけてちょっとおいたのもよかった。


そこからあれこれ試して完成したのが、このアルファルファサンド。

といいつつ、もう四半世紀も飽きずに食べています。



サンドイッチとはいえ、「ポケットブレッド」という、薄いピタのようなものを使います。
半分に切って中を開けると、たまにくっついているものもあるので、ソロッとはがしておきます。
ただ、たまに 破れます。

アルファルファをボールに入れ、おかか1パック、もみ海苔一枚分、
ひねりごまを加え、醤油をたらっと加えてよく混ぜます。
醤油の量は、ほんとに微妙なので、最初はほんの少しだけ入れます。
パンにバターや柚子こしょうを塗るので、醤油が多いと辛くなってしまいます。
しばらく置くと少ししなっとするので、ここで味見をして醤油を加減します。



ポケットブレッドは、加熱したオーブントースターで両面をごく軽く焼きます。
すぐパリパリになってしまうので、見張ってて下さい。または、ガステーブルに乗せた魚焼きの網で。
表面がちょっとパリッとして、中から湯気が出ればOKです。


パンの内側両面に、バターと柚子こしょうを薄く塗り、アルファルファをギュッギュッと詰めます。


時にしらすを入れたり、ウィスキーやワインの時は、チーズをはさんだりもします。
薄く切ったミモレットを混ぜてもいい。



初夏の朝食に、アルファルファサンドと味の乗ってきたトマトとチーズに紅茶なんてサイコー♪

風通しのよいリビングなんかがあれば、の話ですが。







posted by 瓜南直子 at 17:16| Comment(2) | いつもなおかず | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【表現者】41号発売中


富岡 芦澤.jpg

                                            芦澤さん(左)と富岡さん。




おとといの水曜日の夕刻、鎌倉駅で富岡幸一郎さんと芦澤泰偉さんと待ち合わせて、駅裏の「畔屋」へ行った。



2年間12号続けた【表現者】の表紙を、次号から黒鉄ヒロシさんにバトンタッチすることになったので、
その総括を兼ねて、ちょっと飲みましょうという話になったのだ。


富岡さんは鎌倉、芦澤さんは逗子にお住まい。
いつも東京で会合などの帰りは3人で横須賀線車中で飲みながら帰ってくる。
そのまま鎌倉で呑み直すこともある。


1月に、西部邁さんが贈られた壺を見に富岡邸へ伺い、
そのまま「段葛 こ寿々」で蕎麦会をして以来である。


芦澤さんとは、昨年10月22日、29日に放映された
東京MXテレビ「西部邁ゼミナール」でもご一緒させていただいた。
http://www.mxtv.co.jp/nishibe/archive.php?show_date=20111022

http://www.mxtv.co.jp/nishibe/archive.php?show_date=20111029



表紙原画を私が担当した2年間、オピニオン誌としては、かなり異端な表紙だったと思うけど、
何度かAmazonで1位を取ったことがあるそうで、【表現者】の宣伝、売上に貢献できてよかった。
私の作品に、タイトルや見出しなどたくさんの文字を乗せるという難しいデザインを、
上品なものに仕上げて下さった芦澤泰偉さんの力があってこそだけれど、
実際、売上げはかなり伸びているという。

「和食の散歩みち」「表紙絵を語る」と続けたコラムの方は次号からも続けて欲しいということで、
テーマやボリュームについて打ち合わせをした。
他のページの新しい企画なども話の中から生まれてきた。



そして話は「観〇光」へ。

鎌倉独自の文化といえば、近代文学ははずせない。
展示以外に、朗読会や講演などさまざまな企画とリンクさせる形で、
鎌倉の地で、日本文化を見つめ直す土壌を作りたい。

折しも、富岡さんが鎌倉文学館の館長に就任することが正式に決まった。



何か、風が吹いてきているような気がする。



表現者41表紙s.jpg





表現者41号
http://www.amazon.co.jp/%E8%A1%A8%E7%8F%BE%E8%80%85-2012%E5%B9%B4-03%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E9%9B%91%E8%AA%8C/dp/B00746R5RY/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1330068190&sr=1-1





posted by 瓜南直子 at 16:38| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月20日

梅あそび



毎年、京都の「秋田家」さんから梅干が送ってくる。
ここは高橋春男さん、栞さんのご夫婦が営む小さな秋田料理の店。
春男さんは秋田角館、栞さんは宮崎のご出身である。春男さんの秋田料理もさることながら、
栞さんが毎年作る梅干がまた絶品。青谷の立派な梅で漬けて送って下さる。
時には、荷物の中に京都の野菜や、春男さんお手製の佃煮、
栞さんのお兄さんが作った干しいたけなどが入っていて、田舎から慰問袋が届いたようでうれしい。

梅干しは、おむすび、お茶漬はもちろん、和え衣や調味料として使うのがまた楽しい。





百合根 梅肉S.jpg



〇ゆり根の梅和え


ゆり根は身を欠いて、水にさらし、黒くなっているところを包丁で落とします。
大きく厚みのあるものは斜め半分に切り、湯気の立った蒸し器で蒸します。
途中で様子を見て、ほどほどの厚さのものに火が通っていたら、器に盛ります。
叩いた梅肉を天盛りにして、付けながらいただきます。
以前は、冷めたものを和えてたけど、蒸したての方が香りも甘みも際立って、
梅干も生きてくるとわかりました。




ホーロー.jpg



蒸しものは、ちょっとしたものなら、高さのある蓋付きの鍋に、径の合うザルを入れて使います。
私はドイツの病院用の、ホーローの小さな半寸胴を愛用しています。
この鍋は、他にはゆで卵やご飯を蒸す時、あと「ツユク」を作る時に活躍しています。






タイラギS.jpg




〇平貝梅和え

平貝は大きな貝殻のまんなかに、でんっと貝柱がある割に、ほかの部分がけそっとしていて、
いったいどういう暮らしをしているのか、家庭訪問したくなるような貝ですが、貝柱はおいしい。
私としては帆立より数段おいしいと思っています。
貝のみなさんがそうであるように、平貝もちょっと火を通すと甘みが増しておいしくなる。
で、まわりのヒモを外して一口大のサイコロに切った貝柱をさっと酒煎りします。
鍋に少しの酒を沸かして貝を入れ、お箸で少しころがしてザルにあけます。
下に皿を受けて、そのまま冷凍庫に入れて急激に冷まします。
(ここで、よく忘れて凍らしてしまうことも)
貝柱にほんのすこしの醤油をからめ、煎り酒少々でのばした梅肉で和えます。






小松菜梅ツナ.jpg

                                               



〇小松菜梅ツナ

これはとてもおいしい和えものです。
茹でて冷まし切った小松菜を、だしに醤油少々入れた浸し地にしばらく浸しておきます。
これを軽く水切りして、叩いた梅肉とツナ缶を混ぜたもので和えます。
和えすぎると見映えが悪くなるのでサックリと。
ツナ缶はフレークでなく、塊のものを使って下さい。
水煮でなく、オイル漬けを。



梅ツナは、そのまま小皿に盛れば酒の肴に。
ツナをなまり節に替えると、ぐっと深い味わいに。
また、スープパスタにも使えます。ハーブは繊切りの青紫蘇。
日本人好みのさわやかなスープパスタです。





煎り酒.jpg



〇煎り酒

江戸時代に醤油が発明されるまで、刺身などの付け味として用いられていた調味料です。
最近は「煎り酒」というものを売っているようですが、見ると出汁のきいた塩味の調味料みたいですね。
あれはあれで、塩ダレとして作ってみたいと思っています。

私が作る煎り酒は、梅干と酒だけ。
梅干の古漬につま楊枝で点々と穴を開けて、お酒に入れて鍋で煮て、
弱火でコトコト半量近くになるまで煮詰めます。
これを容器に入れて保存します。夏場は冷蔵庫へ。冬なら常温でも大丈夫です。

和えもの、おつゆもの、魚や野菜をさっと炊く時の隠し味に使います。
ひかえめだけど、味にふくらみと奥行きが出るんです。
何よりわかりやすいのは、白身魚のお刺身の付け醤油。
これを煎り酒で割ると醤油が和らぎ、やさしい味わいになって、魚の味が映えます。
あと、しゃぶしゃぶのタレにも使います。

かえし(醤油とみりんを煮つめて寝かせたもの)や煎り酒などの、自家製調味料があると、
マイ味付け感が増す、というか、ちょっとした違いに敏感になったりします。
そのぶん、口うるさい感も増してきて、ヤナやつになってゆきますが…。



あっ。あと、ポン酢だ、ポン酢を何とかしなくっちゃ。
いつも市販のものに、すだちを足したりのナンチャッテぽん酢ですましてるけど、
新わかめのしゃぶしゃぶには、マイぽん酢がほしいところだなー。


ぽん酢作りの達人2名から、それぞれに配合を伺っておるのに、
あわよくばもらおうとする、さもしい魂胆でいるので、いまだに作ってないわけです。




※「ツユク」についてはコチラ→ http://kanannaoko.seesaa.net/article/164860523.html






posted by 瓜南直子 at 16:56| Comment(1) | いつもなおかず | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。