2012年02月02日

和食のしつらえについて考えてみた。


口取りS.jpg




お正月は、基本的にお雑煮さえあればいい。

お雑煮は、シンプルなものが好きだ。
根無し草の私は、このお雑煮でないと、というこだわりはない。
核家族で、しかも成長期のお正月が毎年、旅行先だったこともあって、
お雑煮に土地に根付いた行事食というイメージを持てないまま成長した。

私が作るお雑煮は、京都の白味噌のお雑煮、かぶら蒸し風の かぶのみぞれ雑煮、
そして私が生まれた能登のお雑煮。

ただ、ちょっとした口取りは欲しい。煮しめも欲しい。口変わりに酢漬けもあるほうがいい。

ということで、いくつか作るものがある。
どれも手が覚えているので、本をひもとく必要のない簡単なものだ。

数の子、慈姑うま煮、たたき牛蒡、酢蓮、鰆味噌漬、煮しめ、
ごまめ、菊花かぶ、七色なます、棒だら旨煮。

そこにおいしい蒲鉾や伊達巻や二色玉子があれば、大満足。

その年によって、種類が多かったり少なかったりするけど、基本のラインナップは変わらない。
どこかお国柄があるといいのにな、と思うけど、どこのお国の人でもなく育ったので、特徴と言えるものがない。

唯一、慈姑(くわい)だけは親が産地の広島県福山市の出身で、
伯母が毎年 一箱送ってきてくれるので、旨煮、素揚げ、くわいチップスなどを堪能できる。


今年は煮しめを筑前煮にした。八つ頭と海老芋、お雑煮に入れる金時にんじんだけは別に炊いた。

ごく簡単なものばかりだし、人数も少ないのでお重に入れるほどのものでもない。
それでも、きりっと盛り付けると、お正月っぽくなる。
うちの狭い庭や路地で、菊や笹の葉、紅い実を摘んできて彩りに使う。




日本料理の盛り付けは、「見立て」だ。
庭や活け花、盆栽に通じるものがある。
懐石の八寸など、ものと空間との関係に石庭のような緊張感がある。

そして、楽譜にならない「間」がある。
これは、鹿おどしや邦楽などにも通じる、呼吸を読む「間」の感覚。

書における、墨と余白のせめぎあい。
わずか十七文字で世界を切り取る俳句。
梅や松の枝ぶり。一輪挿しに活けられた花。

どれも「実」たる物や音、言葉と「虚」たる空間のぎりぎりの拙攻で成り立つ美学がある。

そのすべての完成された形として、茶室の設え、空間があるのではないか。

盛ってゆくのでなく、削って削って余韻や間にも役割を与え、
最低限のもので空間とわたりあうという感性から生まれた様式美。

私が作るのは、単なるおかずにすぎないけど、器との相性、そして間合いの呼吸だけは考えている。

和えものなどは、天地で味の染み方が違うので、いざ食べる段には混ぜてしまうので一瞬のことだけど、
食卓に並べた時 ひととき観賞できる景色を作りたい。

画室や寝室におさまりきらないパネルが、玄関にも積み上げられ、さらに場所がなければ、
そこで下地仕事もするという、飯場のような環境で生活している。
だから、せめて小さな食卓の上だけは、にわか作りでも キリッとした設えにしたいのだ。

なんとか視界を卓上にとどめて、あまり周囲を見ないようにして。



くわい煮S.jpg


くわいについてはコチラ「くわいな幸せ」
http://kanannaoko.seesaa.net/article/139301546.html






posted by 瓜南直子 at 13:05| Comment(0) | 料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月25日

能登の雑煮


能登雑煮.jpg




旧正月の朝は今朝は、能登のお雑煮で「新春」を祝った。
これは、薄味のお出汁に茹でた丸餅を入れ、
山盛りの鰹節ともみ海苔をたっぷりかけるだけのとてもシンプルなお雑煮である。

新暦のお正月のお雑煮は白味噌で。そして旧暦は能登のお雑煮で。


私は能登で生まれた。
父が、今は廃線となった輪島線の建設のために能登に赴任して、私はそこで産声を上げた。


2歳になる前に東京に転勤になったので、能登の記憶は何もないし、このお雑煮も食べた記憶は実はない。

だいたいどこも仮住まいのように、あちこち転々としてきたから、味の根幹というものがないのだ。
でも、このお雑煮だけは自分の根っこの味のように大切にしている。

自分の根っこをなんとかどこかに結び付けたくて、お雑煮にしがみついているだけなのかも知れない。




能登は丸餅文化圏なので、実際には茹でた丸餅を使うらしいけど、
丸でも角でも、焼いたお餅の方が香ばしさが加わって、うんとおいしいと思う。



鰹節はたっぷり削っておきます。削り器がなければ、袋入りのおかかを。
裏に「かつお枯れ節」と書いてあるものを買って下さい。
「かつお・ふし」と書いてある、いわゆる花かつおは、鰹節を削ったものではなく、
工程を省いて作られたものなので、香りがあまりよくないです。

海苔は、干し海苔を買ってあぶるのがいちばんだけど、まあ、焼き海苔で。
これをもんでこまかくしたものと、おかかを混ぜたものをたっぷり用意しておきます。

あとで どっさりおかかが乗るので、出汁は昆布でじゅうぶん。
淡口醤油とお酒くらいのさっぱりした味付けにして、
ちょっとたまり醤油かシーズニングソースを加えます。

お椀にお餅をいれ、出汁をはり、おかかと海苔を どばっ と、おてんこ盛りにします。



昆布と鰹節と海苔だけの雑煮。
海に囲まれた日本の歴史と知恵を噛みしめる、ありがたいお雑煮だと思います。
餅、昆布、鰹節、海苔。それぞれの素材の由来を考えると、
お正月にいただくのにふさわしいお雑煮のように思います。



写真は、ピント合わせてるうちにかなり沈んでしまいましたが、
削りたてのおかかともみ海苔、 これでもかっ というくらいに おっっってんこ 盛りにして下さい。




ところで、このお餅。暮れに買ったものなんです。一か月近く経ってます。
冷凍も脱酸素もしてないし、水餅にもしていません。

けれどカビ一つ生えていないのはなぜでしょう。



以下次号。

瞠目 刮目して待て。



posted by 瓜南直子 at 15:15| Comment(0) | 料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月25日

まぐろ血合いあそび




まぐろジャーキー完成.jpg






ビーフジャーキーの作り方は、発刊まもない頃の雑誌「POPEYE」で覚えた。

編集部をハワイに置き、アメリカ西海岸の若者のライフスタイルを紹介する月刊誌、
としてスタートした「POPEYE」が、隔週刊に定着してからの1ページに
「ポパイ クッキング」という連載があった。

そこで紹介されていたのは、
モザイクサンド、ビーフジャーキー、ごはんサラダ、
BLTサンド、たらスパ(まだパスタなんて呼ばれていなかった)etc.

料理は好きだったけど、まだ味噌汁や煮物にはまったく食指の動かない大学生の私には、
どれもたまらないほど魅力的なものだった。

実は今も時々作る、ビーフジャーキーもごはんサラダも、このPOPEYEのレシピがベースとなっている。



ビーフジャーキーは、オーストラリア産のモモ肉の塊を薄切りにして作る。

今でこそ、ナマイキにディロンギのコンベクションオープンで乾燥させて作るけど、
当時はオーブントースターで作っていた。

オーブントースターで、焼けないように乾かすのは、なかなか至難の技だ。
出来上がるまで、ずっと見張っているという、なかなか根気のいるものなのだ。
しかし、ビーフジャーキーが作れるんだ、ということに
ただただ感動しコーフンしていた私は、半日オーブントースターの前に陣取り、
ひっくり返したり、場所を入れ替えたりということを熱心にやっていた。

そんな苦労をしても、宴会などに持ち寄れば、

「へぇー、ビーフジャーキーって作れるんだー。うまいうまい♪」

と、パクパク食べられて一瞬でなくなってしまう。

見栄っ張りで「そんなバクバク食べないでよ。苦労して作ったんだから!」
と言えない私は、顔はオホホに固めたまま、
コイツらには、めったなことでは作ってやらない、と固く心に誓ったのだった。



とは言っても、最近は先斗町「上燗や」の新年会や、
北鎌倉「佗助」の忘年会など、一品持ちよりパーティーの時によく作る。
荷物にならないし、軽いのがなによりいい。



この春、近所にできた立ち呑み「ヒグラシ文庫」で、名物「まぐろ血合いスモーク」に出会った時、
これでジャーキーが作れるんじゃないか、と思った。

それまでも、まぐろの血合いを見ると買って当座煮にしていたけど、おいしそうに炊き上げられなかった。

私は塩水で血抜きをしていたので、肉がグレーになってしまい、
あまりにも地味な地味な煮物になってしまっていた。
食べるとおいしいんだけど、箸が伸びない。
食卓の景色として、これはいらない。


「ヒグラシ文庫」の中原蒼二さんが作る「まぐろ血合いスモーク」は、実においしそうな色をしている。
スモークだからなのかと思ったら、どうやら下処理にヒントがあるようだった。


中原さんに聞いた血合いの扱いのコツは2つ。

1.本まぐろの生の血合いを買うこと。解凍ものは風味がよくないので、おいしくできない。

2.醤油と酒に浸けて、まぐろの旨味は逃さず、下味をつけながら、血とイヤ味を抜く。



やってみました。

一日浸けると、血を引き出した浸け汁はドロドロになりました。


まずは、白ねぎと合わせて「ねぎま」にしてみました。

昆布だしに、かえしと醤油で薄く味をつけ、
一口大に切ったまぐろとぶつ切りの軟白ねぎ、お豆腐も入れました。
腹身と血合いのクセが抜けて、旨みとコクが際立つまぐろがおいしい。
まぐろの旨みがひそむ澄んだお出汁がうれしい。
そして仕上げには、そうめんを入れていただきました。


ねぎまS.jpg


血合いの扱いがわかったので、いよいよまぐろジャーキーに挑戦しようと手ぐすねを引いてたけど、
解凍でない、生の本まぐろになかなか出会えない。
たまたま、普段はそこで魚を買うことなどない近所のスーパーにあったので、
コーフンして3パック買ってしまった。
それでも450円である。


同じように酒と醤油に、かえしも加えてまぐろを漬けた。



まず、ジャーキーの上前をくすねて、漬けたまぐろを焼いてみました。

ぷっくりして弾力のある身、漬け焼きの香ばしさ。これは絶品。


まぐろ焼き.jpg





まぐろ血合い焼き.jpg


ジャーキーにする身は、1cmくらいの厚さに揃えて串に刺し、お風呂で風干しに。
寒風で一昼夜、表面が乾いて軽くなってから、
90℃に設定したコンベクション・オープンで乾かして行きます。

時々天地を返しながら。

水分が抜けてくると、脂が出てくるので、拭きながら。

余熱で乾く余地を残して、カリカリ手前で引き上げて、ざるに並べます。

オープンで焼いている時は、けっこう魚臭いので、換気扇回して下さい。


まぐろジャーキー.jpg



「ヒグラシ文庫」の「まぐろ血合いスモーク」についてくるソースを真似て、
みじんぎりの玉ねぎを混ぜ込んだマヨネーズベースのソースを作ってみました。
これが、血合いのワイルドな風味とよく合って正解でした。



◆今回の反省


○漬け汁がは多めに。

時々漬け汁の中で、身を動かしてやること。
そうでないと浸透圧が止まり、血が抜けにくくなる。


○干す時は一気に。できれば外干しで。

今回、厚さをどうするかで迷い、途中で干し直したりした。

外に干したいけど、ホームセンターで売ってるような、ヤワな干物ネットでは、
リス、トンビ、カラス、アライグマのみなさんのパワーに勝てるとは思えない。


京都にいた時に、焼き金網を組んで干し箱を作った。
あれだ。あれを作ろう。

よし、百均に金網買いに行こう♪

また おもちゃがふえたー。





最後に、泣きそうなほど地味な写真を。
にしんの煮物と、まぐろの血合いの当座煮です。
ね?お箸が伸びないでしょ?

110213_175201.jpg







posted by 瓜南直子 at 16:35| Comment(1) | 料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月24日

なべやきうろん鍋



なべやきうろんふS.jpg



受験生の夜食といえば「鍋焼きうどん」と決まっていた。

私はたいして机にかじりついて受験勉強をした記憶がないけど、
夜中に作って食べる鍋焼きうどんの味は格別だった。
鍋焼きうどんのための、一人土鍋や蓮華もうれしく、冬の楽しみの一つになっていた。
一人用土鍋はたくさんあったけど、ガスコンロは2つしかないので、
休日の昼間などに家族全員の鍋焼きうどんを作る場合は、順番に作って食べていた。


でも、どうも他の家庭ではあまり習慣がなかったようで、
浪人や学生のころ、遊びに来た友達にすすめてもピンとこない風だった。

呑んで酔っ払った私を送ってくれた予備校の友人男子四人が、
母に叱られながら(なぜ叱られてたのか、今もって不可解だけど)
関西系の鍋焼きうどんを釈然としない感じで食べていたのが、なつかしい。

酔っぱらってるから送ってきて、鍋焼きうどんをごちそうになるのはわかるけど、
なぜボクたち叱られなくちゃなんないのか。
それに、この味のついてないようなうどんはなんなんだ?

彼らの顔には小さな字で、このくらい詳しく書いてあった。



鍋焼きうどんの基本装備は、えび天、椎茸(干しいたけの旨煮なら なおよし)、
春菊、お揚げ、カマボコ(もちろん赤)、みつば、生玉子、柚子。

かしわや伊達巻、麩、百合根を入れたりもする。

出汁に薄味をつけて、うどんから煮てゆく。上に具を並べ、しばし煮たら玉子を落として蓋をする。

ゆず皮やすだちはいただく時に。



数年前のある日、近所の酒場で友人と呑んでいて、
これから うちで鍋焼きうどんを食べようという話になった。

でも、一人鍋の数が足りない。
なら、大きい鍋で作っちゃえばいいじゃん、ということになって、
冷凍うどん2玉で作った。

これがよかった。
薄味にしてあるので、取り鉢に取ってからポン酢入れたり、柚子こしょう入れたり、
と味に変化を持たせられる。

前半は、玉子の黄身をつぶさないようにして、鍋なひとときを味わってから
後半は怒涛の鍋焼き。天ぷらと玉子の黄身のドロドロに七味ふって、
至福のなべやきうろんとなる。

なべやき 鯛.jpg

                               鯛の塩焼きの鍋焼きうどん


時々、焼いた鯛とかが残ってたら、これをベースに鍋焼きうどん鍋をします。
牡蠣やお刺身の残りを入れてもいいし、

鍋にはあれこれ約束事があるから、奉行の活躍の場があるけど、
かわいそーなことに、鍋焼きうどんには奉行はいらない。
主役がうどんなんだから、気がラクだしおいしいー。


何でも入れていいけど、市販のものは天ぷらとカマボコ、お揚げくらいにとどめたいですねー。
シューマイやギョーザやソーセージとかは入れたくない。
やはり日本由来のものが合うようです。


なべやきうろん.jpg


















ラベル:鍋焼きうどん
posted by 瓜南直子 at 21:07| Comment(0) | 料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月10日

『久在屋』のお豆腐セット届く!


久在屋セット.jpg


6月のある日、
京都、四条西木屋町にあるショットバー【booz'k】のこうちゃんからメールが来た。

「昨日、店に『久在屋』の人が見えたので、
カナンちゃんがブログに『久在屋』のお揚げのことを書いてたよ、
と言ったら、会社から送ってくれるそうです」

ええっ!!そんなぁー、めちゃくちゃうれしい♪お待ちしてますと返信したら、
さっそく次の日の午前中に届いた。
送って下さったのは『久在屋』の橋本美都子さん。ていねいにお手紙まで添えて送って下さった。


『久在屋』は、京都のお豆腐やさん。
最初に私がこのお店を知ったのは、【booz'k】の何周年目かのパーティーの時。
お店の外に、大きな大きな梅干しざるサイズの「ざる豆腐」が置いてあった。
その大きさにおどろいて、こうちゃん、あれ何ー?と聞いたら、

「『久在屋』さん言うて、葛野大路の方のお豆腐やさんですわ。
友達やさかい、お祝いに持ってきてくれはったんです」

お祝いゆうて、こうちゃん何周年記念て毎年やってるやないの。

「そこはホラ、商売やし…。カ、カナンちゃん、好きなだけ食べてや」


そして、その夜私は、できたてのざる豆腐をホントに好きなだけ食べて、
あろうことか、さらにそのザルまでいただいて帰ったのでした。


以来、ひいきのお豆腐屋さんに『久在屋』が加わりました。
『千代豆腐』  『近喜』  『とようけ茶屋』  『森嘉』 『豆蔵』、それぞれに個性的でおいしい。
『千代豆腐』は、お豆腐も濃くて甘くておいしいけれど、何より豆乳がスゴイ。
まっっったりと濃い豆乳は、豆乳として飲むより、料理の素材として使っていました。

『森嘉』は、他の豆腐とはまったく別のお豆腐。
よく、これで塊りとして存在してるなあ、というくらいのゆるゆるさ。
味わおうとする先から形がなくなってゆくそのはかなさ。
咀嚼という行為を全く否定するかのような成り立ち。禅味とでもいいましょうか。
ここのお豆腐で湯豆腐をするたび、「お豆腐は、京都人の体液である」という言葉を思い出します。

けれど、どの店もデパートなどに行かないと買えないので、
ふだんはもっぱら自転車で買いにゆける、島原大門わきの『豆蔵』さんを愛好してました。
ここの「はんなり」とお揚げが好きで、鎌倉にも毎週送っていただいてましたが、
クール便代もなかなか大変で、いつしか途絶えてしまってました。

だからこそ逗子のスーパー「スズキヤ」で『久在屋』のお揚げを見つけた時は、
ほんとにうれしくて、あぶって、炊いて、と日常的にいただいています。
ブログには、そのお揚げを使った「衣笠丼」のことを書いたのでした。→ http://kanannaoko.seesaa.net/article/147953023.html




詰め合わせに入っていたのは、
「はんなりもめん」 「すっぴんやっこ」 「まったりおぼろ」 「ごま豆腐」
「油揚げ」 「ふわころ揚げ」  「卯の花」の数々。


お揚げ焼き 久在屋.jpg


まずは「油揚げ」を網であぶり、刻んだ九条ねぎを散らしてお醤油をかけます。
そしておかかをふって、大根おろしを添えて、あんぐり。

「ほんわか」 と 「じゅわわー」 と 「甘み」 と 「香ばしさ」 が、口の中にいっぺんに広がります。
しばし、うわー、おいしい〜〜!!と感嘆のひと時があり、
そして、すぐ次の一切れに箸がのびて、気がつけば一気に半分くらい食べてしまってました。
残りのお揚げはゆっくり茹でて油抜きをしてから、少し甘い感じに味付けしたお出汁で炊きました。
こうしておけば、うどんやお蕎麦に使えるし、そのまま新玉ねぎと合わせてもおいしい鉢ものになります。

お揚げ煮 久在屋.jpg



「すっぴんやっこ」 「まったりおぼろ」 「ごま豆腐」は、冷奴でいただきました。
「すっぴんやっこ」は、豆そのものの旨みと甘みが凝縮されていて、
お豆腐というより、もうスィーツと呼んでもいいくらい。
「まったりおぼろ」は、【booz'k】で出されたものと同じものでしょうか。

まったりおぼろ 久在屋.jpg


胡麻豆腐 久在屋.jpg



「はんなりもめん」は、ほんのり湯豆腐にしてみました。
外はあたたかく、中は人肌くらいに温めて。
温めると味は濃く感じ、中の方は甘く、その味のグラデーションがすばらしい!


添えられていたリーフレットに「水洗いしたり、さらしたりしないで、そのままお召し上がり下さい」、
とあるのは、絶妙な豆の旨みとにがりとのバランスが壊れてしまうからだと思う。
そして、何よりお豆腐に自信があるのだろうと思う。



「ふわころ揚げ」はおろし煮にしました。
その名の通り、お出汁を吸ったふわふわのひろうすが、
大根おろしの甘みと木の芽の香りをまとって、それはもう優しい味わい。
こんなものを食べてさえいれば、私はほんとにしあわせ。


お揚げ煮M 久在屋.jpg


そして「卯の花」は、もちろん「卯の花炒り」と「卯の花和え」に。いつものコースです。
でも、豆のおいしさを味わいたいので、ひき肉などは入れません。
香りも、みつ葉程度にとどめました。

ふくよかな甘さ、とでもいいましょうか。
毎日食べていたいおいしさでした。


おからS 久在屋.jpg



「久在屋」さんのお豆腐の数々をいただいて、わかったことは、
とにかく素材が違うのだ、ということ。
豆は、国産大豆、しかも、日本各地の契約栽培の選りすぐり。
水は愛宕山の伏流水。日本各地のにがり。
油は、圧搾菜種油と菜種白絞油をブレンドしたものを使用しているとのこと。




ここで、なぜ「日本各地」なのかを考えてみました。



ヒントは、数年前のある出来事にありました。

以前、近くのスーパーに入っていた東京世田谷のお豆腐屋さんのお豆腐とお揚げを気に入っていつも食べていたのだけど、ある時突然味が変わってしまった。お豆腐もお揚げもガク然と変わってしまった。はっきり言って、味が落ちたのである。姉の家のすぐ近所のお豆腐屋さんなので、姉にも聞いてみたけれど、最近買ってないという。ここまで味が落ちてしまうのは、釈然としないし、何より悲しい。で、電話してみた。

結論から言うと、豆腐の味が落ちたのは、取り寄せている佐賀の農家の大豆が、台風でやられてしまったからだった。確かに前年の台風で、丹波の黒豆もやられていたことは知っていたので、なるほどと納得はした。そして、お揚げは(もちろん、その豆腐から作っていることも一因だけど)、下請けに出したのが原因のようで、技術指導がうまくいっていない、とのことだった。

いろいろな事情はわかったし、お宅のお豆腐のファンなので、ぜひがんばって下さいと言って電話を切ったけれど、そのうちそのスーパーから撤退してしまい、以来そこの豆腐は食べていない。

素材の仕入れが一か所だけだと、こういうことがあるのだとわかった。
天候に影響される農作物を素材として、安定した商品を提供するのがいかにむずかしいか、ということである。





日本各地の豆による豆腐、それを『久在屋』は「日本の地豆腐」と呼び、
その土地土地の在来種の大豆の、いちばんおいしい季節の豆でお豆腐を作っている、ということのようです。

たいへんな努力だと思います。

そして最近よくあるただ「濃い」だけで、豆の風味がしない豆腐とは
まったくちがうものである、ということがよくわかりました。

なんていうのか、素直な味。すっぴんでおいしい豆の味、なんですね。



それ以後も、「スズキヤ」でお揚げを買ってきては、同じようにあぶっていただいているけど、
なぜか『久在屋』さんに送っていただいたものの方がおいしかったように思えてしまうのは、
気のせいだけでしょうか。










posted by 瓜南直子 at 18:39| Comment(0) | 料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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