2012年01月25日

さようなら お餅のカビ。




ある日、「いいものがあった〜」と言って母親が帰ってきた。

「これでカビなくてすむわね。」
「ホコリもつかないし」
「乾いて割れたりもしないわよ」

めずらしくコーフンしているので何事かと思い、買物袋をのぞいてみると、
それは、パックの鏡餅だった。


当時、その手のものが出始めたばかりだった。
めったなことでは目新しいものに手を出さない母が、これだ!とばかり買ってしまったくらい、
鏡餅のカビには心を痛めていたのである。

表面はもちろん、ひび割れの奥に巣食ったカビもとりのぞき、
おぜんざいや揚げ餅、かきもちにする。
それでも、そこはかとなく漂うカビ風味。

冷凍すれば乾燥して回りが固くなる。脱酸素剤はなんだか高いし、
お餅のために脱気パック器を買うのもなんだかなー だし、水餅は風味が悪くなる。

結局、冷凍するんだけど、冷凍したら最後安心して放置してしまい、
数限りない開け閉めの果てに、今度は霜のついた餅を食べることになる。

お餅の管理。
それは、めちゃ保守な母親に「パック鏡餅」を買わせてしまうくらいのストレスだったのだ。




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昨年末12月27日に、鎌倉 大町四つ角の和菓子屋「大くに」でのし餅を半分買った。
ほかほかだったので一日置いて切り、とりあえずタッパーに保存することにした。

その時、ふと思いついて 底と側面、蓋のうらを経木で覆って、お餅を入れてみた。

正月三が日は、お雑煮にしていただいた。
その後しばらくお餅を食べるチャンスがなくて、そのまま放置しておいたけど、
1月10日頃、開けてみるとなんともなかったので、一度 結露を拭いて、経木を取り替えた。

そして旧正月の23日。どーかな?と開けてみたタッパー。

なんの変化もない。ピクともしてない。カピのカの字も生えてない。

経木の威力おそるべし。これは、この冬一番の発見だった。(二番は、数の子の薄皮を取るには、三角コーナーや排水口のストッキングみたいなネットがお役立ち、ということ)

もう、個装パックのお餅を買わなくていいのだ。
カビを包丁でこそげ落としたり、それでも根っこが残っていて、
カビのかほり漂ようお餅をうつむいて食べることもない。経木さえあれば。


経木は市場でまとめて買っている。魚や干物の保存、ハムなどの保存にも重宝している。

経木については、以前ブログ「経木を使おう!」に書きました。
http://kanannaoko.seesaa.net/article/142910250.html



こんなすごい発見をしたのだから、ぜひ母に教えてあげたいけど、
人生の仕上げに入ってしまった母にはもう、お餅のカビなんて些末なことに興味はないようだ。






母が買ってきたパックの鏡餅はしばらく開けられることはなく、
翌年の正月も「なんともなってない」ということで、そのまま三宝に乗せて橙を飾り、
見事 鏡餅ならぬ飾り餅として役目を果たした。


その後 何年かして、「これ、白く塗ってくれない?」と、母が奇妙な物体を持ってきて言った。
見れば、パックのピンホールから侵入したカビに覆われた鏡餅。

私はだまって、パックの表面を800番のペーパーでやすり、
アクリルガッシュの白で塗り、ジェルメディウムを薄めて半つやを出しておいた。



その後、その物体がどうなったかは知らない。




posted by 瓜南直子 at 23:42| Comment(0) | キッチンにて。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月30日

保存王

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私は決してケチではない。

元々経済観念はないし、飲みに行ってワリカンにすると、自分がすごくセコい人間のように思えてしまう。だからケチではないはずだ。

でも、ケチと見まがう行動をとることがある。

まず、手を入れてない食材を捨てられない。デパ地下で、出来合いのおかずを買えない。せいぜいお寿司くらいのものだ。それはたぶん、そう躾られたのだと思う。

冷蔵庫の中を見て、使われないままに傷んでるものを見ると、ものすごくつらくなる。悪かった、と心が痛む。なんとか、ちゃんと手を入れて料理してやろう。それが供養だはなむけだ。

そんな思いが高じたのだろうか、気がつけば私は保存フェチとなっていた。傷みやすいものをいかにもたせるか、にメラメラと燃えるのであった。

以前書いた、経木の話もこの延長なんです。

傷みやすいものは、数々あれど、まずは薬味、つまもの系。これらをいかにもたせるか。どれも水分とどうつき合うか、なんですよね。


☆大葉

傷みやすさNo.1。乾くか、水で朽ちるかどちらかです。ふと、これも生け花のように水切りしてみたらどうだろう、と思ってやってみたら大正解。

ボールに水を入れて、大葉の茎を浸し、水の中で茎を少し切ります。

縦長の容器の底に水を含ませたティッシュペーパーを敷いて、立てて保存します。縦長で透明蓋つきの容器がなかなか見つからなくて、未だラップで被っているのが情けないかぎり。

でも、もちますよー。


☆香菜

野菜室の壁に張り付いた香菜って、よく目にしませんか?傷みやすいのに、そうは連続しては使わない。これは刻んで冷凍です。洗ってよく水気をとって、細かく刻んで冷凍します。根っこも冷凍しておきます。包丁の背で叩いて、エスニックな煮込みに使うと、風味がグンと良くなります。


☆柚子

私は、すごく柚子を使うタチなので、わりとすぐなくなってしまいますが、たくさんいただいた時などは、皮と果汁に分けて保存しています。

皮は白いフカフカごと剥いて、アルミホイルでペッタンコにしてジップロックに入れて冷凍。白いフカフカは冷凍中の乾燥を助けてくれます。ラップだと、ふがふがして密閉できないので、ホイルです。

果汁は、自家製ポン酢に。本格的でなくても、気に入っためんつゆと割れば、簡単にできます。やはり絞りたての果汁で作ったポン酢はキワキワ感が違います。


☆生姜

ひね生姜(土生姜)、新生姜ともに、割り箸など使ってよく洗い、水気をふき、キッチンペーパーかティッシュペーパーにくるんでジップロックに入れます。紙が湿っていたら取り替えます。新生姜は特にマメに取り替えてください。


☆にら

これも、すぐ食べる予定がなければ、刻んで冷凍です。にらたまや野菜炒め程度なら、なんとか。凍ったまま投入します。


☆椎茸

まずパックから出して、野菜室のトレーに出してしまう。または、いしづきを編み針か、金串のようなものに刺して、部屋の隅に置いておきます。使わなくても自然と、干しいたけになってくれます。カチンコのいしづきはザクザクおろして、ぬか床に入れます。


☆実山椒

実を軸からはずして、塩湯でさっと茹で、乾かして冷凍します。


うわーん。なんか、すごいやなヤツみたいな気がしてきた。

どうです。イヤ味でしょう?セコいでしょう?

でも、そんなにやなヤツではないんですよ。ケチでもないし。

言い訳にしか聞こえませんね。



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posted by 瓜南直子 at 16:16| Comment(2) | キッチンにて。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月02日

やっとこ三兄弟

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やっとこ鍋です。

専用のやっとこ挟みが失くなったので、適当なレンチで挟んで使ってます。

行平鍋と同じくアルミの打ち出しですが、注ぎ口や取っ手がないので、スタッキングいやすいのが、何よりの利点。プロの方は「坊主」と呼んでいるようです。

打ち出し、とは言っても一から打ち出して成型するのではなく、『スピニング(へら絞り)』という機械で仕上げ直前まで成型し、仕上げに鎚打ち機で打ち跡を付けていく、というのが大量生産品の製造方法。

とは言っても、鎚跡パターンをつけた型でプレス成型した「打ち出しもどき」ではなく、工程を機械にさせているだけ。鍋の口あたりと、底の板厚を比べてみて底の方が薄ければ、それはプレスものです。

一番大きい鍋は、中古厨房器具店で見つけました。長年プロが使い込んできたものだけあって、さすがに薄くなっている。いちばん厚めのものを選んだのに、それでも私が四半世紀使ってきた次男三男よりも薄い。

私はアルミの鍋が大好きで、永く使ってますが、どういう根拠からなのか、アルツハイマーになると言われるようになりました。アルミにどれだけの罪があるというのか、槍玉に上げられた小さなアルミ鍋業者が、次々と倒産してしまった。

と、ツィッターでつぶやいたら、大阪でアートセラピーの仕事に携わっていらっしゃる菊田朋美さんに、「夫婦揃ってアルツハイマーの方はいませんよ、同じものを食べてるはずなのに」と、心強いお言葉をいただきました。

菊田さんにはげまされ、こうして私のかわいい三兄弟を紹介することができました。


煮物には、何より信頼できる鍋です。火のあたりの柔らかさ、そしてほど好い時間で冷めて行くので、その間に味が染みてゆく。

割烹とは「割」=裂く、「烹」=煮る、と食べものの扱いを示す言葉。板前仕事のニュアンスがあります。料理は「理」=ことわりを「料」=はかるわけで、味つけ、匙加減のような意味合い。食べ物を科学する、と言う感じでしょうか。

私にとって、「割」の基本が包丁なら「烹」の基本はきっと、このやっとこ鍋。

中火→沸騰→弱火→コトコト→火を止めて蓋して放置→食べる前にもう一度温める。煮物の手順はたいがいこんなもの。やっとこ鍋なら安心して、煮物を任せていられる。

手に合うもの、永く使えるもの、使い手と道具とのあいだに信頼感が培われてゆくもの。デザインとはそういうものだと思います。

行平なども、底の安定性や注ぎ口の形状、取っ手口の角度、鍋と取っ手のバランスで、使い勝手が全く違ってきます。

ホームセンターなんかに行くと、安い鍋をつい買ってしまったりするけど、結局使えない。

薄手の花柄ホーロー鍋なんかは、かえって今やレトロブームで人気も高いようですが。



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posted by 瓜南直子 at 22:54| Comment(0) | キッチンにて。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月06日

経木を使おう!

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鎌倉小町通りの『東洋食肉店』は、肉を竹の皮に包んでくれる。その近くの『魚浦』は、魚を経木に包んでくれる。

竹の皮にも経木にも殺菌作用があり、水分を吸ってくれるので、食材が長持ちする。竹の皮の方が水分をとりすぎないので、肉に向いているのだろう。

私はラップをあまり好まない。うるさいし軽薄単調、しかも日本語のものは歌詞がつまらない…。

すみません。

食品ラップは、もともと砲弾を湿気から守るために開発されたもので、サランラップの「サラン」は二人の開発者の奥さんの名前「サラ」「アン」からとったことは有名な話。

外部の湿気や乾燥を防ぐのに、ラップは便利だけれど、それは常温でのこと。冷蔵庫では食品を傷めてしまうこともある。

スーパーで包装された樹脂トレーとラップのまま冷蔵すると、中で汗をかいて食品が早く傷みやすい。

だいたい食材が傷むのは、肉でなくて水なのだ。パックのお豆腐、密封された浅漬け、みんなそう。

なので、私はずっと経木を使っている。以前は魚屋さんで分けてもらっていたのだが、最近は、横浜南部市場で買ってくる。

経木がいちばん活躍するのは干物を保存する時。

干物を買ってきたら、経木に焼酎をスプレーして、身側をあてる。経木でサンドイッチするように干物を重ね、大きめの封筒に入れて輪ゴムでとめる。これで、冷蔵庫の中でゆっくりと干物を続けてもらうのである。

しばらく忘れてた干物も、乾いていても傷んではいない。渇き具合によって玉水(酒と水を合わせたもの)で戻してやればいい。

笹かれい、ヤナギムシカレイなどは、経木で一日水分吸わせたほうが、キリッとおいしくなる。最近の水っぽいシシャモも、同じくキリッとしてくれる。

お刺身の冊や切り身、お頭付きなどは、乾燥しては困るので、経木を当ててからビニール袋にしまう。

しらす干しやホタルイカ、桜エビなどの釜揚げものは水分が多くて傷みやすいもの。メッシュ状になったトレーなどを取っておいて、食品を乗せて経木ではさんで、ビニール袋に入れておく。


経木は、安物は木の匂いが食材に移るので、買うなら1級を。

ハムなんかでも、乗せておくと違いますよ。


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posted by 瓜南直子 at 18:09| Comment(2) | キッチンにて。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月05日

ごはん炊くなら「文化鍋」

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25年くらい、ご飯はこの「文化鍋」で炊いている。

もともと実家がガス釜だったので、ガスで炊くご飯のおいしさは知っていた。

生まれた家では、多分おくどさんで炊いていたと思う。当時、両親と4歳上の姉と赤ん坊の私しかいない家で、毎日一升の米を炊いていたという。

もちろん、父は昼食にお弁当を持っていくか、食べに帰るかしていたとしても、いかに当時の人が、ご飯をよく食べていたかがわかる。


その後、電気釜を買ったのだろう。物ごころついた頃は電気釜があった。おそらく『暮らしの手帖』信者の母が、同誌の商品テストに合格したものを買ったのだと思われる。東芝の一番ベーシックなタイプだった。

いつからガスになったかはわからない。これも『暮らしの手帖』由来かも知れない。

独り暮らしをはじめた時、1合炊きの文化鍋を買った。ガス釜は3合炊きでも大きいし、それ以下のものはなかった。

この1合炊きは、めちゃくちゃかわいかったのだが、空炊きして黒焦げになってしまった。

今、使っているのは2代目の3合炊きと、5合炊き。

玄米を精米して洗い、水加減して30分浸水させる。弱火から始めて強火にし、沸騰したらタイマーを15分にセット。少しずつ火加減をしてゆくのだが、そのまま極弱火で炊き上げてもいい。



それにしても、なぜ『文化鍋』なんて名前なのか。この形のどこが「文化」なのか。

おくどさんで薪に火をつけて、ご飯を炊く羽釜のように、ガス台でおいしくご飯を炊くための鍋として、戦後考案されたものだという。電気釜が普及するまでは、ガスもアルミもハイカラで新しかったのだ。

「文化住宅」「文化包丁」「文化干」新しいものには、何でも文化がついた。

ちなみに「文化干」は「鯖の文化干」しかない。アジにもイワシにも文化干はない。なぜかというと、鯖の「文化」はノルウェー鯖のことだからである。

今では、脂っこいの、味が単調だのと言われているけど、昔はハイカラだったんだ。ノルウェーってだけで、おー、洋モノだ。ハイカラさんだよ、ということになって、じゃあ、文化だ。おっ、いいねェ。鯖の文化干といこうか、ってな感じで名付けられたのだろう。



文化鍋が生産中止されたとも聞く。ネットにはまだあるから、買えるうちに、もう一つ買っておこうかな。

あと、2重曲げわっぱのお櫃があれば、冷やご飯もおいしくいただけるはず。

ところで、今は電気釜って言いませんね。炊飯器でしたね。失礼。


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posted by 瓜南直子 at 10:19| Comment(1) | キッチンにて。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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